ブレードランナー2049 --- 2017,11,03 Fri
「前作ファンにはオススメのB級SF映画」
映画「ブレードランナー2049」を観てきた。リドリー・スコット監督「ブレードランナー」の、35年ぶりの続編。 以下、ネタバレ込みの感想。 個人的には、期待しすぎて肩透かしをくってしまったけど、全体としては面白い映画だったと思う。大ヒットはしないだろうし、名作でもないけれど、誰かが俺の目の前でこの映画をけなしたら、擁護する。そういう……まあ、B級映画だな。前作大好きのおっさんおばさんが思い入れたっぷりに観に行けばいいよ。俺もそうだよ。 前作を知らない人にはあまりオススメしない。筋は追えると思うけど、思い入れとか事前の知識とかないと、多分つらい。 映像と音響を楽しむため、ご家庭よりも劇場での鑑賞がオススメ。 「サイバーパンクという伝統芸能の作法に則った映画」だということを強く感じた。最近の「Ghost in the Shell」もそう。新味のある映像と音楽にあふれた意欲作ではない。これが肩透かしの点。過去の名作「ブレードランナー」の続編に新規性を求めてしまった。いや、むしろ前作の「80年代っぽさ」がない分、劣化したとさえ言えるかもしれない。 音楽も特にどうということはなかったけど、映画館であのリバーブ(残響音)を堪能できたので、これは満足。俺もああいう音を作ってみたい。手持ちの機材じゃムリだ、ちゃんとしたのを買わないと。ただ、扉を閉めるズシーンという音や発砲音など、ほんと普通の映画っぽくてゲンナリする。そこに珍奇な趣向を凝らす必要はなく、この映画に罪はないけど。まあ、良くも悪くも2017年の映画だなと強く感じた点。 閑話休題。 脚本も同様で、今回もレプリカントと生身の人間の境界線上をフラフラ歩く主人公が登場。フォークト=カンプフ検査が不要になった世界でどうやってアイデンティティを喪失させるのかしら……と思ったけど、なるほどそういうことね。合理的な設定だけど、でもそんなに興奮しないな。あの問答が好きだったんだ、P・K・ディックらしさがあって。 最後は生命の神秘まで踏み込むかと思ったけど、そこはほぼ手付かずで終了。なんでレイチェルだけ特別だったんだよ。続編を作る気なのかしら? そういえば20年前にK・W・ジーターの「ブレードランナー2」も読んだんだけど、中身をほとんど覚えてない。レイチェルとデッカードの逃避行が主な内容だった気がする。 「大停電」という設定は強引だけど好き。各種の記憶媒体まで中身が飛んだってのはどんな事故だったんだ。興味深い。 ハリソン・フォードの登場は……まあどっちでもいいや。好きな俳優なのに全然胸がときめかなかった。理由は皆目見当がつかない。何はともあれちゃんと老人の役を演じていた。彼に落ち度はない。 上映時間が2時間40分あったけど、そんなに必要かい? 途中でちょっと危なかった、寝そうになって。 女性の乳首が登場するのでPG12の指定。って何やなと思って調べたら、「12才未満および小学生の観覧には、親又は保護者からの助言や指導が必要」って結局どういうこと?(笑) 親同伴でなきゃ入れないってことかな。 いずれの乳首も、設定上はニンゲンのものじゃないので、道徳上はセーフといえばセーフと言えるか言えないか、えー、これ意外と深い問いじゃね? と思ったけど「To Heart」のマルチのエロシーンが地上波で流せるかっていったら無理だし、「ダミーオスカー」のダミー人形についてる男根だって消しが入ってる。「電子頭脳は人間に代替できるか?」なんて問いは、じつはスケベの側から見れば既に解決済みなのである。 PG12、まあまあ妥当。 なお前作の有名な「四つくれ」については、冒頭でプロテイン・ムシを四匹もらっていたので、踏襲されていると解釈したい。 【追記】 主人公のオッサン感は好き。電子データの女の子と恋愛してるとこも、前作と分かりやすく二重構造になってて良い。 |
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